茂木健一郎と米長邦雄

http://hobby.nikkei.co.jp/shogi/column/index.cfm?i=20050816s3000s3


(前略)
米長邦雄さんに、以前、将棋の能力には男女の差があると思いますか、と伺ったことがある。その時の米長さんの答えに、私はしびれた。「男と女の能力には、差がないと思います」と米長さんは断言された。そして、お弟子さんの女流棋士の名前を挙げて、「彼女は、男性棋士と闘って、名人位を獲得するだけの素質があったと思います」とまで言われたのである。
(中略)
脳はまこと複雑な臓器であり、能力の優劣を安易に決めつけることはできない。極端な場合、欠点が長所になることさえある。欠点を補おうとして、回り道をすることで、かえって常人が思いつかないような独創的な発想が生まれることもあるのだ。

面白おかしく男女の脳の差をはやし立てる論を目にするが、安易な決めつけには科学的根拠などない。脳の中に潜んでいる可能性の大きさを考えると、米長さんを見習って、「男も女も同じだよ」と断言する方が、科学的にも倫理的にも正しい態度なのである。