防弾服ファッション

服飾史家の中野香織さんが日経新聞で「モードの方程式」という連載をしているのだが、9月7日の記事では、テクノロジーが売り物の製品のひとつとして、防弾服ファッションについて取り上げていた。コロンビアのボゴタに本社をおくミゲル・カバレロの防弾服で、「コート、スーツ、カジュアルジャケット、そして下着に至るまで」一見ふつうの服に見えるものが揃っている。


防弾服であるとバレバレの防弾服を着る理由は、いくつか考えられる。防弾服の性能に無頓着であること、防弾服らしくない防弾服がなかった(少なかった)こと、狙撃者以外の人々への威嚇効果、宣伝効果(警備の「ものものしさ」って人物の大物度のアピールになるんじゃないかな)。僕のような素人では、これくらいしか思いつかない。


他方、まじめに狙撃者から身を守ろうと思うなら、やはりバレバレの防弾服はいただけない。それだと狙撃者は最初から頭を狙ってくるだろう。普通の服を着ていると思えば、面積が広く狙いやすい胴体を狙ってくれるかもしれない。そうすれば生き残る確率はあがる。ファッショナブルな防弾服が売れるのには、そんな理由があるそうだ。


これらの製品は、昨年度の売り上げが686%上昇だそう。



コロンビアというと、治安の悪い国というイメージがパッと浮かぶ。ジャーナリストにとってもっとも危険な国に数えられたりもしている。
http://www.janjan.jp/world/0505/0505066684/1.php




そういう国のメーカーが、こういう製品を発表したというのは、偶然の一致かもしれないけど、ともあれ「需要」は(「利権」という言葉で言い換えられるかもしれないが)ありとあらゆる状況で生まれるのだなあと思う。