小林カツ代
最近の僕の「尊敬する人」はなんと言っても小林カツ代さんだ。
- 作者: 小林カツ代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/11/20
- メディア: 新書
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例えば、「煮魚は7分で出来る」として、火加減は終始強火(つまり火加減なし)、どのような魚だろうと一切れにつき水、酒それぞれ1/2カップ、醤油、みりんそれぞれ大匙1。好みで生姜皮ごと二、三枚。
これで何度かやったが、簡単な上に上々の出来。
毎日作り、かつ、料理はそこそこ好きだが入れ込むほどではない僕にとって、最低限の手間で、凝った食材に頼らず、美味しい料理を作ろうという方針に則っているように思えるカツ代流家庭料理術は、すごく嬉しい。
もしかしたら凝った料理本も書いているのかもしれないが、文春新書の「実践 料理のへそ!」では一貫して「〜だけ」とか「〜はする必要がない」とか、そういう手抜きの方法が合理的な説明とともに紹介されている。
例えばダシの取り方に関しても、巷間流布している常識は「料亭の常識」であって、家庭では非現実的として、簡単なやり方を教えてくれる(カツ代さんは「非現実的」とは書いていない。「そんなこと家の料理では出来ません」と言っているだけ)。
その他、野菜があまったら、これに使いましょう、あれに使いましょう、みたいなアイデアが満載。
単なる料理法の紹介に留まらず、残りものの処理や怠け心との付き合い方まで含めた(概ね、怠け心肯定で、手抜き体験披露&手抜きテク紹介)、しかも「食育」のような、うさんくさい教条主義とは無縁な、実践的なノウハウ本。
こういうのを書くには、カラー写真の綺麗な料理本より、新書という形が向いているのかもしれない。とにかく文章ののりがよくて、あまり細かい分量などは書かない。料理手順の説明の合間にうんちく披露。カツ代さんがテレビで喋くりながら作っているのを見ている感じ。
(勘違いも含めた「伝統」などの)変なこだわりからの解放=自由は、知識、ノウハウ、合理主義によってもたらされる。自由の女神とは、すなわち小林カツ代さんのこと。
僕のバイブル。